収蔵品案内

江戸時代
一口 口径14.6cm  高台径 7.8cm 高さ4.4cm 

鍋島焼は江戸時代に佐賀藩主鍋島家の藩窯で焼かれ、鍋島家の自家用や公家や諸大名への贈答用として作られました。それだけに、よい意匠を絶えず取り入れることが要求され、独創的で質の高い作品が数多く生み出されました。

今回ご紹介する色絵譲葉文五寸皿は、色絵であらわした譲葉を中心に、その背面に裏白(うらじろ)の群生している様子を染付(そめつけ)で描いた、正月情緒たっぷりな作品です。

譲葉は、本州の中部以西の山林に自生するユズリハ科の常緑高木で、つやのある長楕円形の葉に紅色を帯びた葉柄(ようへい)がついています。初夏から秋にかけて、新しい葉が生え整ってから代を譲るように古い葉が落ちるため、その様子を代々永続のシンボルとしてとらえ、縁起を祝って新年の飾り物に使われます。

裏白は歯朶(しだ)類ウラジロ科の常緑多年草で、裏面が白味を帯びていることからその名が付けられました。歯朶の「歯」は齢(よわい)に通じ、「朶」は枝で、長く伸びるものの意味から、常緑で枯れないことも含めて、長寿の縁起物として注連縄(しめなわ)などの新年の飾りにする習慣があります。

二つの植物が可憐に描かれたこの五寸皿には、子孫繁栄や長寿を願う思いが込められているのです。

(林原美術館 浅利尚民)