収蔵品案内

銘正阿弥勝義鐫(しょうあみかつよし) 19世紀 明治時代
幅 27.7cm  奥行き 25.9cm 高さ 5.9 cm

同裏

江戸時代から明治時代という時代の変革期を生きた正阿弥勝義は、天保3年(1832)、岡山県津山の金工を家職とする家に生まれました。18歳で正阿弥家の養子となり刀装具の製作に励みますが、明治9年(1876)の廃刀令以後は、新しい工夫をもって独自の境地を開いていきました。明治41年(1908)に77歳で亡くなるまで、精力的な活動を生涯続けています。

 本作品は、明治28年(1895)に造られたもので、10種類ほどの菊花を金・銀・銅などの変り金を用いてあらわしています。非常に鮮やかな色彩が見る者の心をとらえるとともに、花弁一枚一枚に見られる細密な描写には、目を見張るものがあります。皿の表面には裏返しの菊、裏面には表向きの菊を配置していることからも、表裏両面からの観賞を充分意識して造られていることがわかります。菊花の上にたたずむ蜂は、今にも動き出しそうに生き生きと表現されています。まさに「真に迫る」という言葉を体現したような作品に仕上がっており、当館が所蔵する勝義作品中の代表作の一つと言えます。

(林原美術館学芸員 浅利尚民)